シナリオ名《夜明けのアリア》


1.GMさまへ

これは「デッドラインヒーローズRPG」のシナリオです。登場するヴィラン組織は劇団 妖精の尾です。

難易度は中程度と思われます。ご使用、ご改変、動画化はご自由にどうぞ。



2.事前情報

リトライ:2

初期グリット:3

チャレンジ:2

クエリー:3

人数:3人

時間:ボイスセッションで3時間程度

トレーラー(任意):歌が聞こえる。夜を裂く鋭い刃のような歌声が。それは叫びか、はたまた歓声か。そこに嘆きを聞くのなら、キミは優しいのだろう。そこに勇気を聞くのなら、キミは強いのだろう。ヒーローよ、夜明けのアリアを唄え。



3.エントリー

【PC1】

 キミは超人種のヒーローだ。ある日、キミが過去に助けた少女が連絡を取ってきた。

 彼女はヒーローになりたいらしく、キミに弟子入りを希望している。キミにその気があろうがなかろうがお構いなしといった勢いだ。

※PC1は超人種であることが一目でわかる容貌を持っていることが望ましい。



【PC2】

 キミは知人に頼まれてヒーローショーに出演している。鮮やかなマスクを被ってヒーローの”ふり”をするという微笑ましい仕事だ。

 子供たちの声援に応え、ショーが無事に終わろうとしたところで、なんと本物のヴィランが現れた!



【PC3】

 キミは劇団員になりすまし、ヴィラン組織である「劇団 妖精の尾」に潜入している。

 ある日、そこで親しくなった下っ端の男がキミを人気のないところに誘い出した。何やら内密な話があるようだ。



4.シナリオの概要

 過去に正体不明のヴィラン組織が起こした事件に巻き込まれ、PC1に助けられた超人種の姉妹がいる。姉妹は事件の際に両親を亡くして孤児院に入れられた。しかし超人種ならではの外見を理由に差別といじめを受け、孤児院を飛び出した。姉妹は行くあてもなく街を彷徨った。

 それを拾ったのが「劇団 妖精の尾」の座長、クローディアスだ。彼は姉の心の闇に付け入り、彼女を”教育”した。そして、テストに合格すれば役を与えると言い渡した。妖精の尾において、役を得るということは幹部に昇格するということだ。テストの内容は、幼い妹を洗脳してPC1を殺すように仕向けるというものだ。

 実は姉妹の両親を奪ったヴィラン組織こそ、他ならぬ妖精の尾なのである。ヒーローたちは虚偽に塗れた復讐劇を止めることが出来るのか。



5.NPC

・天野ひかり(あまの-):超人種の少女。16歳。青く硬い肌と、螺旋を描く光のような髪を持つ。PC1に逆恨みを抱いている。妖精の尾に所属し、「夜の女王」の役を狙っている。オリジンで言えばミスティックのような力を秘めているが、まだ不完全な魔法しか使えない。データはシナリオ内に記載。

「夜の女王」――オペラ「魔笛」より。神官に娘を奪われたとし、主人公に助けを求める女王。復讐に燃えており、娘に神官を殺すように命じる。最初は善玉として登場し、のちに悪玉に転じる。



・天野ななみ:ひかりの妹。11歳。外見はひかりにそっくりである。臆病で言葉が覚束ないため、今のところクローディアスの関心から外れている。姉に洗脳の呪文をかけられているが、心は悪に染まっていない。



6.シナリオ本編

《導入フェイズ》

【イベント1:再会】

・登場キャラクター:PC1

・場所:G6本部



状況1

 キミは今、連絡を受けてガーディアンズ・シックス本部に来ている。チェインによればキミに会いたがっている少女がいるそうだ。

 指定された場所に行くと、螺旋のような髪を持つ少女がうつむいて座っていた。少女はキミを見るとぱっと表情を明るくして立ち上がる。彼女は硬そうな青い肌を持っており、キミと同じく超人種のようだ。

「本当に来てくれた!私のこと、覚えていますか……?」

 彼女はヴィラン組織に家を燃やされ、危ういところでキミに救い出されたという。

「あの時は名乗り損ねたけど、私、天野ひかりっていいます」

「私、ヒーローになりたいんです。出来ればあなたの助手になって、一緒に活動したいんです。お願いします。弟子にして下さい!」

 ひかりはころんころんと不思議な髪を鳴らしながら頭を下げた。



状況2

 キミが受け入れようと断ろうと、ひかりはキミについてくる。

「迷惑なのはわかっています。でも、あの事件で両親を失って……行き場もお金もないんです」



エンドチェック

・PC1がひかりと再会した

・PC1がひかりと会話した

解説:PC1がひかりを助けたのは近くとも三ヶ月前だ。経歴が許すなら数年前の方がいいだろう。PC1はひかりのことを覚えていなくても構わない。



【イベント2:興行】

・登場キャラクター:PC2

・場所:野外劇場



状況1

 沸きかえる会場。キミは今、知人に頼まれてヒーローショーに出演している。鮮やかなマスクを被ってヒーローの”ふり”をするという、キミにとっては少し奇妙な状況だ。

「くそ〜、ヒーローめ。覚えてろよ!」

 怪人が捨て台詞を吐いて逃げていく。子供たちは生き生きと歓声を上げ、手を叩いている。

 その時、聞き覚えのない台詞が会場に響いた。

「おやおや、随分と頼りない悪役だ。これでは子供たちが欠伸をしてしまう」

 舞台の袖から、悪の親玉のようなメーキャップをした男女たちが次々と現れた。全くリハーサルにないことで、舞台上にいる者はみな呆気にとられている。謎の男女のうちの一人がうろたえる役者を激しく突き飛ばした。役者は舞台から転がり落ち、着ぐるみの頭が吹き飛んだ。

「どけ。三文役者は引っ込んでいろ」

 観客席から悲鳴が上がる。彼らは本物のヴィランに違いない。このままでは会場にいる全員が危険に晒されてしまう。



状況2

 キミがヴィランをやっつけると、子供たちは大喜びでキミを讃える。芝居の続きと思っている観客もいるようだ。怪人役の役者たちは残念そうな演技をしてその場を繋いだ。



エンドチェック

・PC2がヒーローらしく振る舞った

・PC2がヴィランを行動不能にした

解説:このヴィランは妖精の尾の劇団員だ。彼らは子供たちに残酷な劇を見せることを好む。



【イベント3:潜入】

・登場キャラクター:PC3

・場所:貸し練習室



状況1

 鏡張りの部屋にキミはいる。キミはヴィラン組織「劇団 妖精の尾」に潜入しているところだ。この組織は名前の通り劇団の形をとっており、幹部になると役が貰えるらしい。座長は「クローディアス」の役を持つ男だ。噂やつてを辿って、キミは新人として入団した。周囲には若手――というより下っ端ばかりが十数名おり、思い思いの稽古に励んでいる。

「おーいPC3、休憩か?」

 劇団員の一人が声をかけてきた。キミが情報収集のために親しくしている男だ。彼は野心に燃える若者で、座長のポジションを狙っていると公言してはばからない。

「精が出るねえ。随分上達したじゃないか。何か狙っている役があるのか?」

 男は水分補給をしながら無邪気に聞いてきた。こうしていると悪人のようには見えない。



状況2

「ちょっと相談したいことがあるんだ。あんたにとってもいい話さ。こっちに来てくれよ」

 男は思わせぶりな顔つきで、キミを人気のないところに誘い出した。



エンドチェック

・PC3が男と会話した

・PC3が妖精の尾の概要を知った

解説:ここでGMは妖精の尾の情報を簡単に開示するといいだろう。



《展開フェイズ》

【クエリーイベント1:憧憬】

・登場キャラクター:PC1

・場所:G6本部からの帰り道



状況

 キミの数歩後ろを歩きながら、ひかりは好き勝手に話しかけてくる。これからの自分の活躍を想像しては胸を躍らせているらしい。

「ヒーローってどんなところに住んでいるんですか?」

「これまでどんな事件に関わったんですか?」

「ヒーローになるには厳しい特訓が要るんでしょうね」

 賑やかに喋り続けていたひかりが、ふと思い出したように言った。

「私と一緒に妹を助けてくれたの、覚えていますか?もう11歳なんですよ。ななみ、っていうんです」

「あなたがテレビに映るたびに、ななみと一緒に喜んだんですよ。――あなたは強いですね。私と同じ超人種なのに。私はこの姿で差別されて、職にも就けなくて。もっとも、この年齢じゃ普通の仕事なんて少ないですけど……」



エンドチェック

・PC1がひかりと会話した

・PC1がななみの存在を認識した

・グリットを1点得た

解説:ひかりの言葉は演技でもあり本心でもある。ロールプレイに熱が入って、口が勝手に動いた時のような感じだ。



【クエリーイベント2:皮肉】

・登場キャラクター:PC2

・場所:野外劇場



状況1

 ショーが終わり、G6の到着を待つキミにヴィランが話しかけてくる。

「悪役がいてよかったですね?我々がいなけりゃあ、貴方がたも活躍の場がないってもんでしょう。懐具合にも関わるんじゃないですか?それに、少しは胸がすっとしたはずです。誰だって持て囃されたら悪い気はしないんですからな」

 悔し紛れなのかはたまた何かたくらんでいるのか、ヴィランは目玉をぎょろぎょろと動かした。



状況2

 キミや主催者の連絡を受けてG6が駆け付けた。足早にその場を去る親子連れの中で、キミの目に止まった一組がいた。一見ただの母と娘だが、幼い女の子は自分の手を引く女を怖がって逃げようとしている。女は一瞬残忍な表情を覗かせた後に、わがままな娘をなだめるような素振りで去っていく。



エンドチェック

・PC2がヴィランと会話した

・PC2が怪しい女を追いかけた

・グリットを1点得た

解説:状況2の女の子はななみ、女は継母だ。継母は野外劇場でひかりと待ち合わせをする傍ら、ななみにヴィランショーを見せようとしていた。だが紛れ込んだ本物のヒーロー、PC2の活躍によってななみにかけられた洗脳の呪文が解けてしまったため、客のふりをして逃げようとしたのだ。



【クエリーイベント3:誘惑】

・登場キャラクター:PC3

・場所:貸し練習室のトイレ



状況1

 キミは男に誘われて貸し練習室の外にあるトイレにやってきた。男は個室を覗き込んで誰もいないことを確認している。

「あんたを見込んで話すんだぜ。あんたの目の奥にはキラリと光る何かがある。ただの端役で終わるタマじゃないっていう、何かが……。乗り気じゃないならこの場で忘れてくれよ」

 彼は声を潜めて前置きをしてから、キミに話を持ちかけた。

「一緒に座長を暗殺しないか?座長も随分悪いことやってんだ。誰も文句は言わないだろうよ。そしたらお前にもいい役をやるよ」

「座長は今忙しいみたいだからさ、チャンスなんだ。何でも新人のテストがあるんだってよ。PC1って知ってるか?そいつを使って『夜の女王』の役のオーディションをするらしい」

 座長を亡き者にすれば、妖精の尾を一網打尽にすることも夢ではない。キミはこの話に乗るか、乗らないか?



状況2a:乗る

「そうこなくっちゃ!じゃ、詳しい手はずを話すから……」

 キミは男の計画を聞いて驚くかもしれない。これなら本当にクローディアスを暗殺出来そうに思えるからだ。男の手引きであっけないほど簡単に、そして残酷に、キミたちはクローディアスを暗殺することに成功する。詳細はここでは語るまい。

「ははは、はははは!これで俺が座長だ!――言った通り、褒美をやろう。PC3。望みの役を言うがよい」

 男の声色や振る舞いが一変し、その場の空気が冷たくなったようだった。男は妖精の尾の座長、クローディアスになったのだ。



状況2b:乗らない

「そうかい。ま、あんたは実力で勝負するタイプだよな。味方に付けられりゃあ、これ以上はないと思ったんだが……」

 男は作戦を練り直すようだ。



エンドチェック

・PC3が男と会話した

・PC3が入団テストを知った

・グリットを1点得た

解説PC3が座長の暗殺計画に協力した場合、決戦フェイズで「クローディアス」のパワーとエナジーが開示される。代わりにチャレンジイベント1に参加することができない。PLに伝えるかはGMの判断に委ねる。もちろん、PC3は殺人者となる。

ギリギリまで暗殺計画に協力し、最後に止めた場合でもメリットとデメリットは同じだ。ただ、クローディアスの中身(役者)が入れ替わることはない。状況によっては男はクローディアスに処刑されるかもしれない。G6に連絡すれば、PC1が先ほどG6本部を出たばかりだとわかるだろう。



【チャレンジイベント1:試験】

・登場キャラクター:任意(基本的に全員)

・場所:PC1の現在地



状況1

 PC1のいるところに子供を抱えた女、それを追うPC2(と駆けつけたPC3)が集う。女は全身に金の滝を浴びたように光ると、瞬く間に妖精の尾の幹部、継母に変貌した。地面に降ろされた女の子はひかりに走り寄り、ひしと抱きついた。

「お姉ちゃん!」

「ななみ!?」

 いつの間にか周囲には人の輪ができており、妙に感情の失せた目でキミたちを見つめている。

「大丈夫、お姉ちゃんがいるからね……」

 ひかりはななみを落ち着かせるように呼びかける。

「その通り。何も怖いことはないのですよ」

 継母は慈愛に満ちた、それでいて氷のような微笑を浮かべて言う。

「いい?ななみ。教えた通りにやるんだよ」

 何やら異様な雰囲気だ。輪になった人々はあるいは面白そうに、あるいは値踏みするように眺めている。ひかりはななみに金の装飾が施された短剣を手渡した。目はぎらぎらと険しく光っている。

「さあ、PC1を殺しなさい。こいつが私たちの両親を見殺しにした。私たちを孤独にした。――妹よ、お前が殺さなければ姉は死ぬ!」

 声色まで別人のように変わったひかりの絶叫と共に、ななみの目は怪しく輝き始め、操られるように走り出した。



◯チャレンジ判定a:同一のPCが複数の判定を試みることはできない。

・判定1.ななみの洗脳を解く …<心理>or<交渉>1回 

・判定2.ひかりを妨害する …<白兵>or<射撃>or<霊能>1回

※上記の判定が終わると、成否に関わらず継母はひかりとななみを連れて地面の中に消えていこうとする。チャレンジ判定bに移る。



◯チャレンジ判定b

・判定1.ななみを保護する …<運動>or<作戦>1回

失敗:PC1はななみに刺され、ななみは連れて行かれる。場合によってはひかりが自分を刺す。決戦フェイズでグリットが使用できない。



状況2

「ななみ!」

「不合格……ですね」

 継母とひかりはそのまま地面に消えた。人の輪はいつのまにか崩れ、人ごみの中に消えている。

解説:上記はチャレンジ判定に成功した場合のものだ。これはひかりのオーディションである。PCたちの成功はひかりの不合格となる。人の輪は劇団員たちだ。



【チャレンジイベント2:崩壊】

・登場キャラクター:全員

・場所:任意(カフェ等、人がいる場所)



状況1

 それぞれの話を聞いたキミたちは事の全貌を知る。天野ひかりは妖精の尾の劇団員で、PC1はひかりが幹部になるためのオーディションに巻き込まれたのだ。泣きじゃくるななみの話では、両親を失った天野姉妹は相当悲惨な目にあったらしい。しかし最近の事についてはあやふやで、記憶がない部分が多いとわかる。継母は「不合格」と言っていた。これでテストは終わったのか、それとも――?

 キミたちが話し合っているとその場に稲妻が走り、雷鳴が轟いた。うずくまる人々の中に短剣を握ったひかりが立っている。美しかった髪は乱れ、前衛的な造形物のように逆立っている。

「不合格、ですって……!?お前たちのせいで、お前たちのために私は……!」

「PC1!いっそ私を見捨てればよかったのに。私は孤児院でさえ差別され、幼子を連れて彷徨ったのだ。汚い手で触れられたこともあった。あの時に助けなければよかったのに!」

 ひかりはPC1に、そしてオーディションを邪魔したヒーロー全てに刃を向けてくる。



◯チャレンジ判定:同一のPCが複数の判定を試みてもよい。

・判定1.ひかりを止める …<白兵>or<射撃>or<霊能>1回

・判定2.隠れている幹部を発見する …<知覚>-20% 1回 ※PC3のみ<知覚>で挑戦可能

・判定3.記憶を手繰る …<追憶>1回 ※PC1のみ挑戦可能

失敗:決戦フェイズで「天野ひかり」がエネミーに加わる。



状況2

 ひかりはその場にくずおれた。判定2に成功したPCは怯える人々の中におかしな人物を見つける。平凡な装いの青年だが、彼の影を見ると脚が三本ある。妖精の尾の幹部、メフィストフェーレスだ。

 PC1は天野姉妹を助けた日を思い出す。燃え盛る家の中に残された姉妹。群がる野次馬。その中の一人が誰かに重なる。ななみを抱えてきて、目の前で継母に変貌した女だ。キミにはわかる。この復讐劇は仕組まれている。

「お見事。喝采、喝采。いやまったく、ヒーローという人種には脱帽させられますな」

 正体を見破られたメフィストはけばけばしい道化の姿に変わり、手を叩きながら言った。

「今回私めは、そこな少女を監視するよう座長から仰せつかったまでで。どうやら皆様がた、荒事がお好きなようですから……か弱い私はこの辺でお暇させて頂くとしましょう」

 メフィストはその場で跳び上がると、映画の早送りのような喜劇的な動きで去っていった。

解説:上記はチャレンジ判定に成功した場合のものだ。このイベントでひかりを説得するのは難しい。ただPLから要望があった場合は判定1を<説得>か<心理>のいずれか-10%で認めても構わない。その際は「当事者に言われると逆上する」ということで、PC1以外に試みさせた方がそれぞれ活躍できるだろう。



《決戦フェイズ》

【バトルイベント:終幕】

・登場キャラクター:全員

・場所:本文参照



状況

 ざあっとその場に真紅の幕が降り、上手からクローディアスが現れる。

「何故邪魔をするのだ、英雄たちよ。幼気な少女の努力を無に帰すとは。人の生は瞬きのようなもの。その中で好機は少なく、また一期一会。若き血はすぐに錆びてしまうというに」

 空間に下がった幕が開くと、そこは先ほどとはすっかり違う光景に変わっている。暗い舞台が無限に続いており、継母と劇団員たち、そしてキミたちが立っている。ひかりや他の人々の姿は見えない。

「王の言葉、胸に刺さります。私ははなから王の眼鏡違いと思うておりました。なんにせよ、薄汚いねずみ達に菓子を齧られては打ち払いたくもなります」

 継母が冷徹に言い放つ。

「PC3よ、無念だ。良き同朋を得たと思うたが……こうなった以上、亡き者にせねばなるまい」

解説1:上記はすべてのチャレンジ判定に成功した場合のものだ。決戦の舞台は魔術的空間であり、異世界ではない。通常の支援や「資金調達」等のパワーが使用できる。

すべての判定に失敗していれば、ひかりはオーディションに合格し「夜の女王」として登場する。チャレンジイベント2のみに失敗した場合は強化ヘンチマン「天野ひかり」として決戦に加わる。クエリーイベント3の結果によっては、クローディアス役はPC3がよく知る男に代わっている。



解説2:敵はクローディアス、継母、劇団員×4体。チャレンジイベントの結果によっては天野ひかり、もしくは夜の女王。

PCはエリア1か2に配置。クローディアスと継母は4、劇団員と天野ひかり/夜の女王は3に配置する。劇団員のパワーは基本的に「殺陣」のみを選択する。



戦術

・クローディアス:積極的にPC3を狙うが、PC全員に殺意を抱いている。《王の命令》で支援型のPC等を自分のいるエリアに呼び寄せ《寝耳に毒》を使用する。PCが1エリアに固まっている場合は《略奪》を使用する。ラウンドの後半に大技として《二枚舌》を使用する。

・継母:《鏡よ鏡》を主に使用する。射程内のPCがいれば《毒林檎》を試みる。エナジーに余裕があれば第2ラウンドの行動順ロールの直後に《焼けた鉄の靴》で代償のターン半減を図る。

・劇団員:エリア2に移動して《殺陣》を使用するか、エリア3に留まって基本攻撃をする。

・天野ひかり/夜の女王:主にPC1を狙う。



■天野ひかり

ライフ:15 サニティ:15 クレジット:10

肉体:20 白兵60%

精神:38 心理50%

環境:20

移動適正:地上

※パワーは劇団員の「殺陣」「発声練習」「遣い込み」の3つを使用する。



■夜の女王

ライフ:20 サニティ:20 クレジット:15

肉体:20 白兵60% 運動25%

精神:38 霊能70% 心理50%

環境:20

移動適正:地上、飛行



・復讐の炎

属性:攻撃 判定:霊能70%

タイミング:行動 射程:2

目標:1体 代償:ターン10

効果:2D6点のダメージを目標に与える。

*キミの憎しみは炎となって相手を焼き尽くす。



・コロラトゥーラ

属性:攻撃 判定:-

タイミング:行動 射程:3

目標:1エリア 代償:ターン20

効果:目標は<意志>の判定を行なう。この判定に失敗したキャラクターは[1D6+2]点のショックを受ける。

*キミの歌声は鼓膜をつんざく。



《余韻フェイズ》

下記は天野ひかり/夜の女王がエネミーに加わらず、PCが勝利した場合の描写。



 キミたちは勝利したが、未だどことも知れない広大な舞台の上に立ったままだ。どうしようかと考えた矢先、遠くから透き通った歌声が聞こえだす。次第にはっきりとキミたちの耳に染み込んでくる。これはきっと、ひかりの声だ。

 キミたちが気がつくと、先ほどいた場所に立っていた。側には倒した悪役たちが伏している。

「効いた……私の、魔法……」

 ひかりは驚いた顔をしてキミたちを見つめている。



以下自由。下記は全員の結末の例。PCは成長点(最大9点)を得る。



全員の結末

 ひかりの夜は明けた。これからどう生きていくかは彼女が決めるしかない。キミたちは自分の信じる道を進むことだろう。その姿を見る者が勇気を得るか、憎しみを覚えるかはその人次第だ。少女の道には歌が流れている。力強い、キミたちの勇気の歌が。

「夜明けのアリア」閉幕



←戻 作者:うえ/(@ORC_ue)

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