シナリオ名《パパンがそーれっ☆盆踊りだョ!全員集合》



1.KPさまへ

これは「クトゥルフ神話TRPG」のシナリオです。舞台は秋の「尾取村(おどりむら)」という架空の村に設定しています。

茶番に見せかけた割と危険なシナリオです。ご使用、ご改変、動画化はご自由にどうぞ。

太字の部分が基本的に読み上げる、またはテキストで貼る部分です。



2.事前情報

舞台:現代日本

形式:特殊クローズド

推奨技能:目星、重機械操作、交渉技能

推奨人数:3人

発狂/不定/ロスト:あり。肉体ロストの可能性は低い

時間:ボイスセッションで1〜2時間程度

備考:90分のリアル制限時間あり

参考資料:地図/NPCの家



3.シナリオの概要と背景

 のどかな秋の夜を過ごす探索者たちの耳にどこからか祭囃子の音が聞こえてくる。次第に意識が遠のき、気がつくとそこは盆踊り会場だった。

 森の中の広場に高い櫓があり、櫓の上で村長が大太鼓を叩いている。櫓の周囲では村人が盆踊りを踊っている。それはヨグ=ソトースを招来する儀式だった。村長は親睦会と称して村人を集めては洗脳していたのだ。

 村長に生贄として無作為に呼ばれた探索者たちは、邪神の招来を阻むため、そして家に帰るために奔走する。



4.NPC …この村の住人は全員「踊」姓です。

・踊 三吉/おどり さんきち(57歳):尾取村の村人。この件の真相は何も知らない。頑固者で村の集会に参加しなかったため村長の洗脳を免れた。踊り嫌いのガラス細工職人。悪意のないお邪魔キャラ。

STR:11 POW:6 APP:7 DEX:11



・踊 好子/おどり よしこ(43歳):尾取村の村人。この件の真相はほとんど知らない。村長やたい子の事を怪しんでいて知っていることを話してくれる。集会に行った夫の様子がおかしいので、警戒して集会を避けていたことで村長の洗脳を免れた。農業者。ヒントを出してくれるお助けキャラ。

STR:14 POW:13 APP:11 DEX:13



・林 茉莉/はやし まつり(23歳):三重県出身の会社員。探索者と同じように生贄として呼ばれた。異変を察知し、離れたところで盆踊り大会を見ている。探索者たちの協力者。

STR:14 POW:11 APP:9 DEX:15



・踊 たい子/おどりたいこ(68歳):尾取村の村長の妻。ヨグ=ソトースの狂信者ではないが、夫の冒涜的な行為を見て見ぬ振りをしている。村に隠れている。野菜の卸売販売業。情報を引き出される役。

APP:6 DEX:7 SAN:24



・踊 長平/おどり ちょうへい(71歳):尾取村の村長。魔術師でありヨグ=ソトースの狂信者。櫓の上で大太鼓を叩いている。この件の黒幕。

POW:8 APP:6 SAN:0



・モブ6人(50代〜70代):尾取村の村人。村長に洗脳された哀れなヨグ=ソトースの狂信者。櫓の周りで冒涜的な盆踊りを踊っている。

女性3人…SIZ/STR:8 男性3人…STR/SIZ9 共通…SAN:0




5.シナリオ本編

《導入》

秋の夜、あなた達がそれぞれの時間を過ごしていると、どこからか祭囃子が聞こえてきます。

その音はどんどん近づいているように感じられます。終いには頭の中で太鼓の音が耳鳴りのように響き、あまりの煩さにあなた達の意識は遠のいていきます。

ふと気づくとあなた達は盆踊り会場にいました。星が輝く空の下、森の中の広場に高い櫓があり、その上で誰かが大太鼓を叩いているようです。

櫓を囲むように輪になった人々が音楽に合わせて踊っています。突然の奇妙な事態に《0/1の正気度喪失》です。

※持ち物と服装はそのまま。携帯は圏外。

KPへ:描写が終わったところから90分の時間制限が入ります。



広場の周りは鬱蒼と茂った深い森で、会場の明かりから離れれば真っ暗闇であることが予想できます。広場からは一本の道が続いており、先は何本も枝分かれしているようです。

広場には踊っている人以外にも、輪から離れて見物している人が数人います。中年の男性と中年の女性、そして若い女性です。

(→地図)



《NPCが話すことの例》…内容によっては別のNPCが話す情報を出しても構いません。探索者が不用意に踊りの輪に加わろうとした場合は、林茉莉に止めさせるのがいいでしょう。

◯中年男性(踊三吉)

「お晩です」「私は踊三吉というもんです」

ここはどこか→「ここは尾取村ですて。おめさんら他所から来なすったんでしょ。何もないけんどごゆっくりね」

どこにある村か→「青森と秋田と岩手のね、県境にある山の中の村ですわ

突然ここに来たのですが…→「そんなことあるもんかい」「おらなんもわがんね」

何をしているのか→「何って盆踊り大会ですわ」

季節外れではないか?→「こん村の人は踊りが好きだからね。年中踊ってらあ」

何故踊らないのか→「おらは踊りなんか嫌いじゃ」

KPへ:彼は本当に何も知りません。気難しく、無礼な物言いをすると怒って口を閉ざします。



◯中年女性(踊好子)

「お晩ですー。他所の人かー?よぐぎたなー」「私は踊好子ってんです。野生の盆踊ラーYOSHIKOと呼ばれてます」

三吉との関係は?→「この村は踊姓しかいないがですよ」

突然ここに来たのですが…→「はて。不思議なことがあるもんですねぁ。村長にお聞きしたらなんかわかるかもしれません」

村長はどこにいるのか→「村長ならね、櫓の上で太鼓叩いてますよ」

何故踊らないのか→「歳ですかねぁ、踊ったら疲れちまったもんで。休んどるんですわ」

帰り道について→「あっちの山道をずうっと降りれば麓に降りられますよ。夜だから、危ないですよ」と言って広場から伸びる道を指します。

最後に「あんたがた踊らないんですか」と聞きます。

KPへ:彼女も詳しいことは知りませんが、村民の集会が怪しいと薄々感づいています。《心理学》をすれば何か心当たりがありそうだとわかるでしょう。しかしこの時点では村の名誉を考えて言葉を濁してしまいます。探索者が盆踊り大会の終了時間を気にした場合は彼女の口から伝えるといいでしょう。



→村長を疑ったり、この盆踊り大会がおかしいと説いたりした場合。または《説得》に成功

「村長がね、ある時期から親睦会を始めたんですよ。最初は私ぁ農作業が忙しくてね、行かなかったんですわ。そうしたら親睦会に行った夫がおかしなことを言いだしてね。次第に狂ったようになって、とうとう話も通じなくなっちまったんです」

夫の言動について→「よくわからなかったですけどね、神様がどうとか、次元を超えるとか、過去も未来も一緒だとか……」

親睦会の場所について→「この村には公民館がないもんで。村長の家のね、書斎でやっているそうですよ」



◯若い女性(林茉莉)

「こんばんは」

名前を聞いた場合→「私?よくぞ聞いてくれました。祭囃子が聞こえたら〜すぐさま参上、流浪の踊り手。林茉莉よ!」

ここにいる理由→「夕飯を作っていたらいつのまにかこの会場に来ていたの。最初は私が優れた踊り手だから引き寄せられたのかと思ったわ…でもなんだかおかしい。踊っている人たちを見た?」

「お味噌汁大丈夫かしら……まだ私が来てから◯◯分(経過時間)くらいだと思うけど。火にかけっぱなしなのよ」

KPへ:彼女は探索者と同じ立場です。◯◯分の部分をいやに細かく読み上げることで時間制限を意識させることができます。



《盆踊りの輪と櫓》

→盆踊りの輪をよく見る、近づく、または《目星》成功

踊っている人たちは楽しそうに笑っていますが、よく見るとみな目が虚ろで、その様はまるで麻薬に浮かされているようです。

近づくと、ぶつぶつと意味不明な言葉を発しているのが聞こえます。狂人の宴のような不気味な光景に《0/1d2の正気度喪失》です。

《聞き耳》成功:「いあ……いあ……」と言っているのが辛うじて聞き取れます。

※踊っているのは6人のモブたち。話しかけても答えず、反応する様子もない。引っ張って輪から抜けさせる場合は《STR抵抗ロール》に成功すること。輪から抜けても踊り続け、押さえなければまた輪に戻ろうとする。STRとSIZ共に女性は8、男性は9。



→櫓をよく見る

櫓は木製でなく石でできています。10mはありそうな、異様に高い櫓です。



→櫓に近づこうとする

KPへ:村長との《POW抵抗ロール》が発生します。 村長のPOWは8です。ロールに失敗した者は盆踊りの輪に入ってしまいます。出たい場合は一周ごとに《POW抵抗ロール》を行って成功するか、無事な誰かが《SIZとSTRとの抵抗ロール》などに成功して引っ張らなければなりません。数人で引っ張れば自動成功にしてもいいでしょう。櫓に近づけたとしても梯子や階段はなく《登攀》も不可能です。巨石で出来ていること以外は何もわかりません。

あなたの体は勝手に踊りだします。楽しく、平和で、ずっと踊っていたい気持ちになります。《1d3の正気度喪失》です。



《森と村への道》

→森に入る

あなた達が森の中に入ると、祭囃子の音が遠ざかっていきます。草をかき分けて真っ暗な森の中を進んでいくと、また太鼓の音が聞こえてきます。森を抜けた時には先ほどの広場に戻ってしまいました。不思議な現象に《0/1の正気度喪失》です。

KPへ:木に目印をつけても無意味です。村長が張り巡らせた魔術によって、探索者もNPCもどう足掻こうと広場に戻ってきてしまいます。



→道に入ろうとする

道に入ろうとすると三吉が止めてきます。

「どごさいぐんですか。そっちは私らの村もありますから、他所の人はちょっと。行かれるんなら村人が一緒でねえと……。失礼ですがね、私らぁ鍵もなんもかけずに開けっ放してることもありますからね」



三吉と一緒に行く:彼はあなたがたをじっと睨み、おかしなことをしないか見張っているようです。

KPへ:探索者が森に入ろうとしたり、山道を降りようとする場合は止めません。しばらく見送った後、また会場に戻ります。村民の家の探索は彼を撒かない限りできません。



好子と一緒に行く:彼女はゆっくりと歩きながら、「そういやぁ村長の奥さんがいらっしゃいませんね。町内会には必ずいらっしゃるのに、おかしいなあ。踊りのお好きな方なんですよ」と言います。



《村の中》

尾取村は山の中のごくごく小さい村で、分かれ道の先に点々と民家が見えます。民家の周りには畑や田んぼがあり、いくつか掘建小屋も見えます。分かれ道は七本あります。



・道1…三吉家。村長の家とほぼ同じ造りで、書斎がなく狭め。鍵がかかっておらず、独身なので誰もいない。外付けの掘建小屋内にガラス細工の工房がある。(KPへ:特別なものは何もありません)

・道2…好子家。外付けの大きな掘建小屋と野菜の収穫された畑がある。 居間、夫婦の個室など。(KPへ:掘建小屋に畑用の重機械が入っています。鍵は居間にあります)

・道3〜5…モブの家。表札は「踊」。鍵がかかっている。

・道6…長平家。妻のたい子がいる。(→村長の家 へ)

・道7…山道



→山道を降りる

あなた達が山道を下りていくと、次第に祭囃子の音が遠ざかっていきます。ついに辺りからは虫の声しか聞こえなくなりました。しばらく真っ暗な道を進んでいくと、また太鼓の音が聞こえてきます。そしてどういう訳か、あなた達は先ほどの広場に戻っていました。背後を見ると鬱蒼と茂った森があります。不可思議な現象に《0/1の正気度喪失》です。

KPへ:森に入った後に山道を下りた場合、またはその逆でも、正気度喪失は最初の一回のみで構いません。



《村長の家》

チャイムを鳴らすと弱々しい女性の声が聞こえてきます。ほどなくして初老の女性が出てきました。

彼女はあなた達を見ると怯えたような顔をしますが、「お晩です。村の外からいらしたお客様ですかね」と言います。

《心理学》成功:彼女があなた達に対して引け目を感じているような気がします。



家に入れてほしいと言うと彼女はためらいながらも客間に通してくれます。村長の家は和風の平屋で、客間の他に四つ部屋があるようです。一つは扉についた小窓や扉横のスイッチからトイレだと察することができます。(→見取り図)

たい子は盆踊り大会に参加しない理由を具合が悪いと言います。

《心理学》成功:盆踊り大会に対して恐怖を抱いているように感じられます。

KPへ:トイレの他には裏口とキッチンがついた居間、書斎、風呂付きの寝室があります。書斎以外は特筆すべき物はありません。たい子は何を聞かれてもおどおどと振る舞うだけで、事件の真相については語りません。広場に行くことは拒みます。探索者が家の中を捜索するには、たい子を客間や玄関先に引き止めつつ、トイレに行くふりをしたり裏口から侵入したりするとよいでしょう。同行者が好子だった場合、RPや交渉技能で協力者にしていれば手伝ってくれます。



◯書斎:本棚と机があるだけの簡素な部屋です。

・本棚に《目星》成功:きちんと装丁された本の中にある、英語のペーパーバックが気になります。表紙には「Necronomicon」と書いてあります。

本の中を調べる:本を開いてパラパラと見てみると「CALL/DISMISS YOG-SOTHOTH」の項目にマーカーが引いてあることに気づきます。

《英語》成功:「CALL/DISMISS YOG-SOTHOTH」の項目だけなら時間をかけずに読むことができます。読んだあなたはこの呪文を修得します。

※内容は下記の日本語訳と同じ。正気度喪失なし。



・机:筆記用具、卓上型のコピー機があります。

→コピー機の原稿台ガラスを見る

一枚の紙がセットしたままになっています。英語の本の一部を日本語訳したもののようです。「ヨグ=ソトースの招来/退散」の呪文と、それについて書いてあります。

「特別に作られた石の塔にヨグ=ソトースを呼び寄せる。塔は野外になければならず、空は晴れ渡っていなければならない。塔の高さは少なくとも10mなくてはならない。

呪文をかけるたびに、術者はヨグ=ソトースが受け取る生贄を指定しなければならない」

紙の内容を読んだあなたはこの呪文を修得します。





《塔の破壊》

KPへ:好子に事情を説明して重機械を借りる必要があります。ショベルカー、除雪車の他、農家にありそうなものならなんでも構いません。

戦闘技能での破壊は不可能です。試みようとした場合は塔に近づいた際の処理へ。時間制限が尽きた場合、もしくは探索者が何も思いつかなかった場合は下記の《ヨグソトースの招来/退散》の項目へ。時間に余裕がある時点で詰まってしまった場合は《アイデア》を振らせてもいいでしょう。



《重機械操作》技能を持っていない場合、好子に使い方を訊くと+10%

《INT*5》に成功で詳しく覚えられたことになり、さらに+20%

・二人乗りの機械で好子に横に乗ってもらう場合は《交渉技能》に成功すること。さらに+30%

KPへ:狭い村で村長に逆らうことに抵抗と恐怖を抱いているため、好子は操作したがりません。本人に操作して貰う場合はさらに《交渉技能》に成功する必要があります。好子が操作した場合は自動成功ですが、探索者が操作したほうが盛り上がるかと思います。ショベルカー、除雪車は2人乗りです。



《重機械操作》ロールに成功したのち、「塔を破壊する」の宣言で破壊することができる。

踊る村人を助けたい場合は村人との《STR抵抗》などで引っ張って抑えておくこと。ロープで縛っておいてもよい。もしくは操作している探索者が《幸運の1/2》に成功することで無事で済む。

何も対策を取らなければ村長は落ちて死亡する。→「トゥルーエンド」へ

ショベルカーを使用していた場合、PLの宣言でバケット(アーム先の部分)で掬うことができる。→「ハッピーエンド」へ



《ヨグソトースの招来/退散》

KPへ:90分の制限時間が尽きた場合にこのルートに入ります。

ふと、太鼓の音が止みました。音楽も止み、櫓を囲む人々はバタリバタリと倒れていきます。辺りは怖いほどの静寂に包まれました。

あなた達が櫓の方を見ると空に大きな裂け目が出来ていることに気づきます。そこに巨大な光の球が集まっていき、玉虫色の球の集合体となりました。不気味に空を覆うそれは絶え間なく形を変え、くっついたり、また離れたりを繰り返しています。世界の破滅をも暗示する怖ろしい光景に《1d10/1d100の正気度喪失》です。

※ここでSANが0になった探索者は盆踊りを踊り出して役に立たない。探索者の意思、宣言でMPを貸すことのみ出来る。全員SAN0になった場合はヨグ=ソトースからの攻撃を受けて「バッドエンド」へ。



◯ヨグ=ソトースの退散 …基本ルールブックP263,264参照

退散には最低でも20MPが必要。その時点で成功率5%。

そこから1MPをコストにするごとに5%ずつ成功率が上がる。

好子(MP13)と茉莉(MP11)からMPを借りることができる。

成功率を100%(99%)にしたい場合は合計39MP必要。

唱えた探索者は1d100をロールする。成功値が100%の場合でも100ファンは無効。

退散が成功した場合→「ノーマルエンド」へ



◯戦闘ラウンド

KPへ:退散の呪文を失敗してしまった場合や、制限時間までに呪文を修得していなかった場合はこの処理に入ります。よほどのことがない限りこの状況にはならないと思います。

探索者を生贄にしようと画策した村長の意志に反して、ヨグ=ソトースは広場にいる人間全員の中からランダムに生贄を選んで攻撃してきます。術者である村長は除きます。攻撃は1ターンにつき1人。広場にいることが予想される人間は探索者3人、NPC3人、モブ村人6人です。無理やり引きずり出してきたならたい子もいるでしょう。



〈ヨグ=ソトース〉 DEX1、POW100 …基本ルールブックP226,227参照

1.タッチ:粘液質の球を探索者に触れさせる。100%。CON1d6の永久喪失。身体の一部分が腐る。己の肉体が腐る恐怖を体感した探索者は《1/1d8の正気度喪失》。目撃者は《0/1d4の正気度喪失》

2.移動:POW*3のロールで運ばれるのを防ぐことができる。失敗すると宇宙の彼方に連れて行かれる。人が消滅したのを目撃した者は《1/1d3の正気度喪失》

3.銀色の球:液体状の銀色の球を飛ばしてくる。80%。《回避》もしくは《跳躍》で避けることができる。直径5km以内に死のダメージ。非業な死の目撃者は《0/1d6の正気度喪失》



◯攻撃描写例

1…◯◯さんのすぐそばに、粘液質の球体が浮かんでいます。逃げなければ、そう思った瞬間に球はあなたの体に触れます。すると球に触れられた体の一部分が嫌な臭いをさせて腐り落ちました。一目であなたは悟ります。これは永久に治ることがないと。己の肉体が腐る恐怖を体感したあなたは《1/1d8の正気度喪失》です。目撃した人は《0/1d4の正気度喪失》です。◯◯さんはCON1d6の永久喪失です。



2…◯◯さんが気付くと、粘液質の球体が体に触れています。《POW*3》をお願いします。

成功→何事もなく、球は離れて行きました。

失敗(個別チャット)→未知の球体が体に触れたと思ったとたん、あなたの身体は宇宙に漂っていました。苦しい。身体中が焼けつくように、痛いのか熱いのか寒いのか。それすらもわからず、あなたは意識を失います。あなたの亡骸は宇宙のどこかで永久に漂い続けることでしょう。デッドエンドです。



(全員)→◯◯さんは叫ぶ間もなく消滅しました。今まで共に行動していた人が忽然と消えたのを目撃した方は《1/1d3の正気度喪失》です。



3…◯◯さんの方向に液体状の球体が飛んできます。《回避》もしくは《跳躍》をお願いします。

失敗→◯◯さんは球体を避けきれず、目の前に迫る銀色の球を目に焼き付け、そこで意識が途絶えます。遺された人々は目撃するでしょう。無残に抉れた地面を。そこに立っていた人間がどうなったのか、容易に想像ができます。非業な死の目撃者は《0/1d6の正気度喪失》です。



《エンディング》

1.掬い上げ -ハッピーエンド

◯◯さんはショベルカーのアームを伸ばし、塔の上の村長を掬い上げることができます。アームを降ろすと、そこには一人の老人がいました。老人は慌てふためき、バケットにしがみついています。彼がこの邪悪な盆踊り大会の首謀者、尾取村の村長その人です。

KPへ:後は探索者の行動に任せます。村長はとにかく拝み倒して許しを請います。彼は魔術で探索者を家まで飛ばすことができます。探索者が望めば魔道書を持ち帰ることも出来ます。

パパンがそーれっ☆ハッピーエンドです!



2.塔破壊 -トゥルーエンド

◯◯さんが塔を破壊すると一人の老人が塔から落ちていきます。彼は無残に地面に激突し、その上に大太鼓とラジカセが落ちていきます。

そして石の塔がゆっくりと倒れて行きます。祭囃子は止み、村人は行き場を失った手を下ろします。彼らの虚ろな目は祭りが終わったことを寂しがるようでした。

三吉は好子から話を聞いてようやく事態を飲み込んだようです。「あんたらには悪いことをした。どうやら助けて頂いたようで、ありがとう。ちゃんと家まで帰れるようにしますので」

彼は目を伏せてあなた達にお詫びとお礼とを言います。あなた達は三吉に送られ、たい子から新幹線代を受け取り、無事家に帰ることでしょう。

※探索者が望めば魔道書を持ち帰ることが出来る。

おめでとうございます。トゥルーエンドです。



3.退散 -ノーマルエンド

◯◯さんが退散の呪文を唱えると、空を覆う球の集合体は分裂し、空の裂け目の中に帰って行きました。残されたのは倒れた人々とそびえ立つ塔だけです。

あなた達の耳に、また太鼓の音が聞こえてきました。塔の上から発せられているはずのそれは、まるですぐ側で叩かれているように耳を聾します。あまりの煩さにあなた達は目眩がし、意識を手放しました。

気がつくとそこは自宅のベッドでした。記憶は生々しく、忘れようもなく脳にこびりついています。あなた達は忘れられぬ未知の恐怖を抱いたまま、日常に戻ることでしょう。

※怪我をした場合は残っている。

お疲れ様です。ノーマルエンドです。



4.全員死亡 -バッドエンド

あなた達は全員、あるいは消え失せ、あるいは塵となり、あるいは全身が腐って倒れ臥しました。

その後この村がどうなったのか、世界がどうなったのかは知る由もありません。また、関係もないでしょう。あなた達は死んでしまったのだから。

ご愁傷様です。バッドエンドです。



《報酬など》

◯SAN回復

・全員生還…1d6

・村長を掬った…1d4

・塔を破壊した…1d3



◯魔道書:「ネクロノミコン(ペーパーバック・英語版)」 …キーパーコンパニオンP32参照

《ヨグ=ソトースの招来/退散》、《支配》、《萎縮》、《炎の精の召喚/従属》が記載されている。

0/1d4の正気度喪失。クトゥルフ神話に+2。研究解読に3週間、斜め読みに6時間



◯SAN0になった場合

ヨグ=ソトースの狂信者になるか、盆踊りの狂信者になります。不定の狂気などからKPとPLで相談して決めて頂いても構いません。



6.付記

制作者はボイスセッションでリアル時間制限にしています。90分はヨグ=ソトースを招来するために必要な時間の最大値です。

テキストセッションの場合は行動回数を制限するといいかと思います。PCが三人未満だと時間が大幅に余るかもしれません。

情報の出し方、NPCのRP、難易度など、お好きに変えて頂いて構いません。村人の方言は制作者の地元を参考にした適当なものです。

参加して下さったPLさんがたから「踊りたかった……」との声を頂いたので、盆踊りの輪に近づいた時点で村長とのPOW対抗が発生してもいいでしょう。



←戻 作者:うえ/(@ORC_ue)

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