シナリオ名《燃えよ青春!麻神学園運動会》
1.GMさまへ
これは「デッドラインヒーローズRPG」のシナリオです。舞台は己護路島に設定しています。
PCは麻神学園の生徒となります。また、GMは「学園マッドネス」を所持している必要があります。
登場するヴィラン組織はありません。難易度は低いと思われます。ご使用、ご改変、動画化はご自由にどうぞ。
2020.06.11…チャレンジイベント2の結果を修正しました。本文の内容に変更はありません。
2.事前情報
リトライ:1
初期グリット:3
チャレンジ:2
クエリー:2
人数:2人
時間:ボイスセッションで2時間程度
トレーラー(任意):放課後の楽しみ。思う存分だらけるもよし、情熱を注ぐもよし。クラブ活動は学園の第二の顔だ。生徒も授業中とは違った表情を覗かせる。もしかしたらその輝きが一生の思い出となるかもしれない。若人よ、青春を燃やせ。
3.エントリー
【PC共通】
キミたちは私立麻神学園ヒーロー科の生徒である。今年から麻神学園の運動会にクラブ対抗戦が導入されることになった。
同じクラブに所属しており、なおかつクラブ活動に青春を捧げているキミたちは、是非とも優勝したいと士気を燃やす。
ただ、一つ大きな問題があった。キミたちのクラブには他に部員がいないのだ。
4.シナリオの概要
超人種が集う私立麻神学園の運動会では、今年からクラブ対抗戦が導入される。種目は三人一組の騎馬戦だ。同じクラブに所属するPCたちは部費増額を求めて優勝を志す。しかし二人では参加できないため、勧誘活動を開始することになる。新たな出会いやライバルの妨害を経て、PCたちは優勝することが出来るのか。
5.NPC
・古道あさみ(こどう-):エンハンスドの女子生徒。2年立組、帰宅部。ヒーローを志望しており、学園生活に遊びは不要と考えている。そのため友達を作ったり、趣味に励んだりしたことがない。彼女がヒーロー科所属かどうかはPCの学年による。PC全員が1年生ならば、ヒーロー科を希望しながらも所属できていない(R2/p75参考)。データはシナリオ内に記載。
・乗馬倶楽部/英国乗馬愛好会:PCが所属するクラブのライバル。嫌味な連中が揃っている。データはシナリオ内に記載。
6.シナリオ本編
《導入フェイズ》
【イベント:告知】
・登場PC:全員
・登場NPC:メリッサ(p95)
・場所:ヒーロー科教室
状況1
キミたちは私立麻神学園ヒーロー科の生徒だ。本日の授業がすべて終わり、浮き立つ生徒たちを担任のメリッサ先生が呼び止めた。
「諸君。今年の運動会ではクラブ対抗戦を導入することになった。詳しくはこの用紙に目を通してくれ。以上」
教室内がざわめく。キミたち二人は同じクラブに所属しており、クラブ活動にこそ青春を捧げている。教壇に置かれた用紙を手に取ると、この試みが生徒会によって決定されたことがわかる。
『クラブ対抗戦!! ――種目は騎馬戦。優勝したクラブには予算の増額を認める。出場を希望するクラブは3名の代表を選出し、この用紙に記入すること。一人の生徒が複数のクラブの代表になることは不可とする。◯◯日の16時までに生徒会室前に設置されたBOXに提出されたし』
キミたちのクラブの部員は二人きりで、吹けば飛ぶような予算をやりくりして活動している。何としてでももう一人メンバーを確保し、この戦を勝ち抜きたい。
状況2
キミたちはもう一人の代表を求めて勧誘に乗り出した。
エンドチェック
・PCがクラブを設定した
・PCが用紙の内容を確認した
・PCが勧誘活動を開始した
解説:このイベントの中で、PCは自分たちが所属するクラブを決めなければならない。兼部しているうちの一つでもいいだろう。用紙の提出期限は三日後の夕方だ。
PC同士のクラスや学年が違っても構わない。その場合は適宜描写を変更すること。記載がない場合、シナリオ内のページ表記はR2のものである。
《展開フェイズ》
【クエリーイベント1:孤高】
・登場PC:全員
・登場NPC:古道あさみ、柳蔭青菜(p98)
・場所:学園内
状況
次の日もその次の日も、キミたちは学園内を駆け回って多くの生徒に声をかけたが、全く上手くいかない。やる気のある生徒は大体他のクラブの代表に選ばれているのだ。
「立組のあさみさんに声をかけてみたらどう?彼女、まだ代表になっていないと思うの。OKしてくれるかはわからないけれど……」
2年の柳蔭青菜のアドバイスにより、キミたちはグラウンドにやってきた。隅のほうで青菜が言っていた通りの女子生徒が筋トレをしている。細身だが筋肉質で、気難しそうな雰囲気だ。声をかけると彼女は表情を変えずに顔を上げた。
「クラブ対抗戦?そんな子供っぽいこと興味ないよ。あんたらヒーロー科の生徒だね。私もヒーローになるつもりだ。ただし、一匹狼のね。あんたらもヒーローになりたいんなら特訓でもしてなよ」
あさみはキミたちの勧誘を一蹴する。
エンドチェック
・PCがあさみと会話した
・グリットを1点得た
解説:PCが望むのであればコミュやサイドトラックを挟んでも構わない。次のチャレンジであさみとのエンパシーを使用するため、あさみとのコミュはまだ認めない方が無難である。
【チャレンジイベント1:勧誘】
・登場PC:全員
・登場NPC:古道あさみ
・場所:グラウンド
状況1
あさみは帰宅部の生徒で、放課後はほぼ特訓しているらしい。彼女はキミたちを無視して筋トレを再開した。しかしもう他に頼める人がいないのは明らかだ。また、彼女ならば超人種同士の乱闘にも耐えうるように思える。
◯チャレンジ判定:一人一つ任意の判定を行ない、あさみからPC(二人一組とする)へのエンパシーを「友好」に変える。「友好」になった時点でチャレンジ成功になる。現在は「中立」。このチャレンジではPC全員が判定に失敗した時にリトライが一点減少する。
例:PC1が判定にファンブル(まだリトライは減らない)→あさみからPCたちへのエンパシーが「険悪」へ→PC2が判定に成功→あさみからPCたちへのエンパシーが「中立」へ→PC1が判定に再挑戦して成功→あさみからPCたちへのエンパシーが「友好」へ→チャレンジ成功
・判定例1.あさみを説得する …<心理>or<交渉>1回
・判定例2.あさみに実力を見せる …<白兵>or<射撃>or<霊能>1回
失敗:あさみは渋々仮入部してくれるが、積極的に協力はしない。決戦フェイズであさみが使用するパワーが「無敵」のみになる。また、チャレンジイベント2の判定に+10%の修正がつかない。
状況2
「ふうん…そこまで言うんなら仕方ないね。一時的に部員になってやるよ。ただし、やるからには優勝だよ」
あさみはキミたちのクラブに仮入部した。
解説:コミュのシステムを借りたチャレンジだ。このイベントにおいてはPCが一人でも判定に成功すれば、PC二人に対するあさみのエンパシーが一段階良好な関係になる。
【チャレンジイベント2:提出】
・登場PC:全員
・登場NPC:古道あさみ、乗馬倶楽部
・場所:生徒会室前
状況1
キミたちは三人の名前を記入した用紙を持って生徒会室前にやってきた。提出期限まであと15分。ギリギリ間に合ったというところだ。BOX前は大変混み合っており、ちょっとした騒ぎになっている。
人ごみをかき分けるキミたちの前に、三人の生徒が立ちふさがった。ライバルの「乗馬倶楽部」の面々だ。
「弱小クラブがよくメンバーを集めたものだね。だが残念、戦はもう始まっているのだよ。キミたちに参加させるものか。こんな時間に提出に来る方が悪いのさ」
◯チャレンジ判定:同一のPCが複数の判定を試みることはできない。チャレンジイベント1に成功していれば、あさみの協力によりすべての判定に+10%の修正。
・判定1.乗馬倶楽部を抑える …<白兵>or<射撃>or<霊能>1回
・判定2.用紙を提出する …<運動>or<作戦>or<隠密>1回
失敗:未登録で出場することになる。優勝しても予算が増額されなくなる。
状況2
「ふん、まあいい。勝負がおあずけになっただけだ。望み通り、本番で打ち破ってやろうじゃないか」
「我々の倶楽部は先日分裂してね。元副部長が別の乗馬倶楽部を設立したんだ。『英国乗馬愛好会』という名でね。残念な話だ。もっとも、運動会が終わったら元に戻るかもしれないが……」
乗馬倶楽部はにやりと笑って悠々と去っていく。
解説:乗馬倶楽部は頭数を増やし、対抗戦で協力しあうためにあえて分裂したのだ。PCの設定したクラブに合わせてライバルを変更してもいいだろう。
【クエリーイベント2:緊張】
・登場PC:全員
・登場NPC:古道あさみ
・場所:グラウンド
状況
運動会当日。真っ青な空の下、いよいよクラブ対抗戦が始まろうとしている。特訓に特訓を重ねたキミたちは、胸の高鳴りを抑えて静かに待機していた。ふと、あさみが震えた声で呟いた。
「こんな緊張、初めてだよ。一人だったら失敗しても構いやしないのに。今まで人と協力することから逃げてきたのかもしれない。体が強張ってきた……」
このままでは優勝は望めないだろう。キミたちはあさみにどんな言葉をかけるだろうか?
エンドチェック
・PCがあさみと会話した
・グリットを1点得た
《決戦フェイズ》
【バトルイベント:対抗】
・登場PC:全員
・登場NPC:古道あさみ、大鳥居そにあ(p95)、乗馬倶楽部、ほか
・場所:グラウンド
状況
生徒会長の大鳥居そにあが指を掲げ、合図の火花を散らせた。キミたちは騎馬を組み、そにあの演説に耳を傾ける。
「クラブ対抗騎馬戦!ここに並びますのは放課後を愛してやまない生徒たちです。彼ら彼女らは学年の枠を越えて協力し、自身のクラブの名誉のため、また部費増額のために戦います。校長先生に掛け合って、今年から取り入れることになりました。だって――面白そうだったから」
もう一度火花が散った。無数の騎馬が喊声を上げながら動きだす。乗馬倶楽部はすぐにキミたちをマークした。
「行くよ、二人とも!」
あさみが大きく叫んだ。
特殊ルール
PCとNPCは三人一組となって移動する。敵は一組で一体として扱う。ルールの複雑化を避けるため、基本的にあさみが騎手役、PCが騎馬になる。
PC同士はテクノマンサーの「溶接機(R1/p135)」の効果と同じ状態になる。PCが「溶接機」を使用した場合、何らかの有利な修正を与えてもよい。
飛行の処理についてはGMに任せるが、面倒であれば使用不可としてもよい。
解説1:この決戦でPCがロストすることはない。PCが一人でも[気絶][瀕死][死亡][混乱][絶望][汚名]のいずれかを受けた場合、騎馬が崩れて敗北となる。
ほかは通常のバトルイベントと同じだ。すべての敵が行動不能になった時点でPCたちが優勝する。
解説2:敵は乗馬倶楽部、英国乗馬愛好会、ヘンチマン×3組。ほかの騎馬はPCと無関係なところでお互いに潰しあっている。
PCとあさみはエリア1か2(三人とも同一のエリア)に配置。乗馬倶楽部は4、英国乗馬愛好会とヘンチマンは3に配置する。
ヘンチマンのデータは「不良(p130)」を使用する。ゲーム上は「騎馬戦同好会」などの名前に変えるといいだろう。
■乗馬倶楽部
ライフ:40 サニティ:40 クレジット:30
肉体:30 射撃80%
精神:40
環境:30
移動適正:地上
・襲歩
属性:移動 判定:-
タイミング:行動 射程:-
目標:自身 代償:ターン2
効果:隣接するエリアに移動する。
*キミたちは馬のように疾走する。
・流鏑馬
属性:攻撃、装備 判定:射撃80%
タイミング:行動 射程:3
目標:1体 代償:ターン10
効果:目標は<運動>-10%の判定を行なう。この判定に失敗したキャラクターは[1d6+4]点のダメージおよび[転倒]を受ける。
*騎馬上から矢を射る。そこまでするか。
・嫌味
属性:攻撃 判定:-
タイミング:行動 射程:2
目標:2体 代償:ターン10
効果:目標は<心理>の判定を行なう。この判定に失敗したキャラクターは[1d6+2]点のショックを受ける。
*キミたちは嫌味な人間だ。
■英国乗馬愛好会
ライフ:25 サニティ:20 クレジット:15
肉体:25 白兵75%
精神:30
環境:20
移動適正:地上
・ギャロップ
属性:移動 判定:-
タイミング:行動 射程:-
目標:自身 代償:ターン3
効果:隣接するエリアに移動する。
*襲歩を英語で言っただけ。
・騎士道
属性:攻撃、装備 判定:白兵75%
タイミング:行動 射程:1
目標:1体 代償:ターン10
効果:目標は<運動>-20%の判定を行なう。この判定に失敗したキャラクターは2d6点のダメージを受ける。
*騎馬上から剣を振るう。何でもありだ。
・思いやりの精神
属性:回復 判定:-
タイミング:行動 射程:2
目標:1体 代償:ターン10
効果:目標のライフもしくはサニティを[1d6+2]点回復する。
*キミたちは紳士だ。
■古道あさみ
※PC中心のバトルになるように設定してある。「無敵」以外の使用するパワーはPCが選択すること。
・無敵
属性:強化 判定:-
タイミング:永続 射程:-
目標:自身 代償:なし
効果:キミは「目標:自身」を除くあらゆるパワーの目標にならない。また、キミはダメージを受けない。
・喝
属性:強化 判定:-
タイミング:特殊 射程:0
目標:2体 代償:ターン20
効果:行動順ロールの直後に使用できる。目標のターン・カウンタを[-1d6]する。
・応急処置
属性:回復 判定:-
タイミング:特殊 射程:0
目標:2体 代償:ターン20
効果:行動順ロールの直後に使用できる。目標のライフを1d6点(最低2)回復する。
・エール
属性:回復 判定:-
タイミング:特殊 射程:0
目標:2体 代償:ターン20
効果:行動順ロールの直後に使用できる。目標のサニティを1d6点(最低2)回復する。
《余韻フェイズ》
下記はPCが勝利した場合の描写。
「優勝は、◯◯クラブーー!!」
そにあの声が響いた。グラウンドには爆煙が立ち込めており、一部では生徒が折り重なっていたり、謎のガスが漂っていたりする。
「やった!やったな!」
あさみは飛び上がって喜んでいる。
「不思議だよ、試験で一番だった時より嬉しい。チームっていいもんだね。――あんたらがよければ、正式に◯◯クラブに入ってもいいかい」
あさみは改まって申し出てきた。
以下自由。下記は全員の結末の例。リマークを使い切っているならPCは成長点7点を得る。サイドトラックの内容によっては更に増えることもあるだろう。
全員の結末
放課後の楽しみ。異臭に爆音、なんでもござれ。混沌に包まれた部室棟から聞こえるのは、それでもやはり笑い声だ。一人より二人はもっと楽しい。二人より三人はもっともっと楽しい。キミたちは繭の中の蛹のように、少しずつ成長していく。
「燃えよ青春!麻神学園運動会」閉会